次回帰国時の対策

日本から戻り、カウンセリングでこのときの様子を話し、次回の対策を聞いた。

実家そのものに行ってはおらずとも、親がいたり親戚がいるという昔の環境に出くわすと、やはり「子供の自分(Little girl)」が出てきてしまうのだということだった。

大人の女性(Adult woman)」ならば、母親に対して「祖母と二人で話したいから外に出ていてもらえませんか」と言えただろうと。確かにそうだ。でも親を目の前にすると「子供の自分」に戻ってしまい、普通に行動することができなくなってしまう。言動に制限が出てきてしまうのだ。

それもあったけれど、私は母親から「なんで出なきゃいけないの?」と言われるのが面倒だった。きっと高圧的な態度でそう言ってくるだろう。そう言うと、カウンセラーは「その質問に答える必要はない(I don’t need to answer your question)」と言えばいいと言った。

びっくりした。確かにそうだ。

質問をされると、人は「答えなければいけない」と勝手に思ってしまう。それが常識的な人間の対応だからだ。でも必ずしもそうではない。質問をされたとしても、答えるか答えないかはこちらの自由だし、特に相手が常識的でなかった場合は、こちらも常識的に通し続けることはできなくて当然だ。

私のような毒親育ちや、もしかしたら日本人は誰しも、親などの「権力者(Authority)」からなにかを要求されると、それに応えなければならないという考えを植えつけられている。でも本来ならば同じ人間同士、なにか要求されても応えてもいいし応えなくてもいい。その自由は常に誰でも平等に持っている。

でも毒親自身はそれではやっていけない。相手に自分のコントロール下に入ってもらわなければ、自分を保てない。そこでどうにか「小さい子供の私」を出そう出そうとしてくる。昔と同じ状況に持っていこう持っていこうとしてくる。だから「相変わらずの毒一族」で書いた通り、まさに精一杯高圧的な態度で接してくるのだ。

adult-child

でも本来これはそういった「上から下への会話」ではなく、「大人同士の対等な会話」なのだ。だから「祖母と話をしたいから出ていてもらえませんか」と、堂々と言うべきなのだ。

そこで「なんで私が出てなきゃいけないわけ?」と言われたら、「理由を答える必要はない」と言えばいい。「嫌だ、出て行かない」と言われたら、「ではあなたがここにいたいなら、私はしばらく外に出ています、どのくらい時間が必要ですか?10分ですか、30分ですか?」と交渉すればいいのだと。同じ年ごろの他のおばさんと話すのと、まったくなにも変わらないのだと言われた。

毒親育ちの場合、毒親や毒親と同じことをしてくる人たちにトリガーされると、子供のときの自分、なにも対処ができず自分を押し殺すことしかできなかった自分が出てきてしまう。怒りや恐怖でパニックになり、普通の対応ができなくなる。相手は自分の生命を左右する「親」であり、自分は親の言う通りにしないと生きていけなかった「子供」という感覚に、瞬時に戻ってしまうからだ。

でもトリガーさえされなければ、相手はただの人なのだ。子供のころと違って自分は今は立派な大人であり、相手に自分の生命を左右されたりしないのだ。

それはわかったものの、やはり毒親と対峙しているときに「冷静になって普通の対応をする」というのは、まだまだ当時の私には難しかった。でもこのときの帰国でも、一度は「出て行け」と言うことができた。従妹から母親に、私が祖母と二人で話をしたいから外に出るよう話してもらったのに、まごまごと居座っていたからだ。そうしたらぶつぶつ言いながらも出て行った。

きちんと言えば、言い返せないのだ。彼女にとってもっとも怖いのは、おかしなことに、私に嫌われることだからだ。私を踏みつけることができなくなったら、自分を支えられなくなってしまうからだ。

母親は私の従妹に「Kelokoは私のことを嫌っている、それはわかっている」と言ったことがあるらしい。そこまでわかっているのなら、なぜ嫌われているのかは考えないのかと思うのだけれど、そこはやはり毒親の毒親たるゆえんで、頭が回らないから、それについてどうしたらいいかを考えられないのだろうと思っていた。

しかしカウンセラーが言うには、そうではないと。

「自分の娘に嫌われている」ということを認めてしまえば、自分は「嫌な母親」になってしまう。それが認められないから、こんなにも明確に嫌われているということを、永遠に否定し続けるのだろうと。だからあんなにも前回の帰国時にいろいろあったにもかかわらず、「ここにはなんの問題もない」という体で振る舞うのだということだった。従妹にそんなことを言ったのも、単に否定してほしかったからなのだろう。なるほどと思った。

私が祖母の部屋にいると、父親や他の叔母はわざわざ入ってこなかったのに、母親だけは必ず入ってきた。従妹も自分の親と問題があって絶縁しているけれど、「うちの親でさえ、私が病室にいたら入っては来ないだろう」と言っていた。それほどあの女は異常なのだ。

近づくことさえ気持ち悪くてできないのに、言葉を交わして同じ空間にいることを認めるなど無理だ。周りの空気が黒く濁っていて、腐臭がするから息も吸いたくない。祖母のことがなければ、すっかり忘れて生きていけるのに。

こんな状態で、ここから回復できるのだろうか。先が見えなかった。

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