子供の自分と大人の自分

このころ、カウンセリングでじっくり実家のことを話した。

「親にはもう二度と会いたくない」と言うと、会ったらどうなるのかを聞かれた。あとから何度も出てくるけれど、これがこのカウンセラーの本当に巧妙な手口だった。

人が「親になんか会いたくないわ!!」と悲観的に言う。普通なら「そうなんだ、大変なんだね」というようなあいまいな返しが期待されるところで、「じゃあ会ったらどうなるの?」と率直な疑問を投げかけられる。すると人は悲観にひたっていたところに不意打ちをくらって「へ?」となり、「どうなるんだろう…」と考えさせられることになる。そして場合によっては「あれ?普通に考えたらそんな悲観的でもないのかな?」と思えてきたりする。

このとき私は、「たとえばまた祖母に会いに行ったとして、そこで親に出くわしてしまったら、たぶんものすごい高圧的な態度で出てくるだろう」と話した。「親に連絡もせず日本に来て」と私を見下す態度をとってくるだろうから、そういう嫌な思いをしたくないから祖母にもそうそう会いに行けないと。

するとカウンセラーは、両親なんてのは実際はもう私にとってなんでもない(Nothing)のだと言ってきた。自分が祖母に会いたければ会いに行けばいいし、親に左右されることはない。たとえ今このカウンセリングルームに両親が入ってきたとしても、別に恐れるものでもなんでもないと。

渡英三年目に「私の気づき」があって、旦那さんと離婚かもしれないとなったときも、あなたは「この結婚がだめになったら実家に戻らなければならない、他に行くところがどこもないと恐怖におちいった」と言っていたけれど、大卒で独立し、二か国語を話し、海外で仕事を見つけられるような女性が、離婚したくらいで実家に戻らなければならないわけがない、こんな人ならなんだってできるだろうと。

普通に考えたら、そんな10代の子供でもない、経験のある立派な大人の女性が、離婚したくらいで実家に戻らなければならないなどと思う人はいない。なのにそう思い込んでしまっているのは、ちょうど洗脳下にあるのと同じように、親にからめとられてしまっているからだとのことだった。

そう、なんだろうか。普通は、離婚したら実家に戻るものではないのだろうか。

たしかに夫と別れたら家賃も払えなかったけれど、仕事を見つければ生活できたはずだ。周りに独身の友人もたくさんいたけれど、みんな自分で暮らしていた。私も思い込んでいるだけで、別に実家に戻らなくてもいいのかもしれない。日本に戻ってもどうせ仕事はないのだから、イギリスで仕事を探すことになるだろう。そうしたら確かに日本に戻らなければならないどころか、逆にイギリスに残らなければならないことになる。

でも、そのなんだってできるだろう「大人の自分(Adult Keloko)」の中には、まだ小さい「子供の自分(Little Keloko)」がいて、親がいなくては生きていけなかった時代の気持ちを今でも抱え続けてしまっている。親に嫌な思いをさせられたこと、それを我慢しなければ生きていけなかったこと。

その未消化な子の抑圧された気持ちが出てきてしまうから、いい大人になっても「親の世話にならなければならない」という思い込みがあったり、親の言動に左右されて嫌な思いをしてしまうのだということだった。

これが、毒親育ちの人にとって親の言動が耐え難くつらいメカニズムだった。

そして、そのつらい気持ちが人からは理解されにくい理由だった。

だから自分の解毒レベルをはかるには、人から見てどうかではなく、自分にとって「親の言動がどれだけ刺さるか」を考えてみればいい。そして完全に解毒した人はきっと、親がなにをどうしようと、その辺の通行人や異国の異人と同じくらいスルーできるはずだ。

では、どうやってその「子供の自分」の気持ちを手放していけるのだろう。

抱えている気持ちを手放すには、ただ単に「手放せ手放せ」と念じたり、ないものとして扱っても無理だとのこと。気持ちを認識し、「本当につらかった」「悲しかった」と味わい十分理解することでしか、解放していけない。「怒りを癒す」でもやったように、自分自身や人から認識され共感されるることで、癒やされていくのだ。

同様に、この「子供の自分」の思いを無視してしまうと、いつまでも消化されずに嫌な思いを抱え続けていってしまう。なので、「子供の自分」の思いを理解して受け止めてあげ、「大人の自分」と統合してあげる作業が必要なのだと、カウンセラーは説明してくれた。

よくアダルトチルドレン関連のものを読んでいると、この「子供の自分」というのが「インナーチャイルド」という言葉で出てくる。大人の自分と子供の自分の統合、インナーチャイルドワーク。それはこういうことだったのかと納得した。

でも、具体的にどうやってその統合をするのか。そして果たして本当にそんなことができるのか。

それはこうしてカウンセリングで話をすることによって、「子供の自分」の気持ちを思い出して受け止めていき、「大人の自分」と統合していけるのだと言っていた。私の場合はその「からの理解」に加えて、ヨガで「からの理解」もやっているので、非常に効果的だろうと言われた。

このときはよくわからなかったけれど、これは本当に本当だった。

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