夫の変化

そんな夫だったが、少しずつ変化は出てきた。

夫はこのころ、近所の友人宅にお世話になっていた。カウンセラーに「まったく会わないのはよくない」と言われたので、週に何度か夫と会って話をするようにした。それができたのも、近所だったからだ。本当にありがたかった。

最初よかったと思っていたカウンセリングは、なんだか意味のない方向へ進んでいるような気がしてきた。カウンセラーは、私たちの問題を「よくある国際結婚の問題」と決めつけているような感じだった。

私はもうなにもしないと決めたので、聞かれたときに答える程度だったのだけれど、夫は聞かれたことをランダムにしゃべっているだけで、その質問にどういう意味があるのか、カウンセラーがどういう意図で聞いているのか、また毎回のカウンセリングでなにが得られたか、次回はなにを話したらいいかなどを、まったく考えていなかった。

これではいつまでたっても解決などしないと思ったので、次に夫に会うときは、カウンセリングでなにが行われているかを考えて受けるようにということを話さなければと思っていた。またこうして私が問題提起をして、いろいろまとめてやってやらなければならないのかと思い、暗い気持ちになった。

でも夫と会っても、私からはなにも言わなかった。私がなにを言うか考えて、流れを作って、ということはもうやらない。二人のことなのだから、「会おう」と言った意味、話さなければならないことはなにかということを、夫もきちんと考えて行動してくれと思った。

すると夫が話し始めた。なんと「カウンセリングが全然だめだ」と言い出した。「It’s not going anywhere(どうにもならない)」と。「よくある国際結婚の問題にしようとしている」と。

普通、だと思う。でも夫が初めて普通のことを言い始めた。驚愕した。

ほんの1ミクロンだったけれど、希望が出てきた。もしかしたらこの人、できるのかもしれない。

それまでの夫だったら、こんなこともなにも考えず、ただ言われるまま医者に行って、カウンセリングを受けてと、言われることをやっているだけだった。それがなんと、「たぶん国際結婚がすごく多いんだと思うけど、あのカウンセラーはいわゆる『国際結婚に基づく相違』みたいに俺らのことを思ってる。俺らのはそういうよくある話じゃなくて、もっと根本的な問題だから、あの人じゃ無理かもしれない」と言っていた。

また次回のカウンセリングでは「Family(家族)」についてやろうと言われたので、これはいい流れだと思っていた。夫にも問題があることがわかっていて、そしてそれは確実に家族の問題から来ていると私は思っていた。

すると夫もそれを認識しており、だから家族の話をカウンセリングでしたのだと言う。驚いた。

なぜ自分がこうなのか、人が感情的になるのがダメなのかということを、実家に行ったら話してくると言い始めた。あんな空っぽな話ばかりしてるところへ行って、本当にそんなことができるものなのかは疑問だったけれど、そこに問題がありそうだと気づいたことは大きな進歩だと思った。

しかも、お世話になっている家でホワイトボードを使っているという話をしてきた。お互いがなにをしているかが見えるようになっていて、とてもいいのだと。そして「これがうちでは全部Kelokoの頭の中にあるから、Kelokoがリラックスできなくていつも不安を抱えてるんだ。だからそれを全部ホワイトボードに出して、そこを見ればわかるようになっていれば、これをいつも頭のなかに入れて気にしておかなくてもいい」と言ってきた。

私のことを考えていた。驚愕だった。

ただこれにも理由があって、夫は自分の問題に対する自覚は出てはきたものの、まだ人から言われるのは嫌だったのだ。カウンセリングでもいつも自分の話はすぐ終わらせて、私の問題を「助けよう」とし、自分の問題を話したがらなかった。それで、私のことを考え始めたというところはある。

でも、あれだけ一緒に暮らしていてもまったく共に人生を歩んでる気がしなかったのに。旅行に行ったり、おいしいものを食べたり、楽しいことを一緒にやるというだけで、空っぽだったのに。もしかしたら変われるのかもしれない。二人で半分ずつになるのかもしれない。そう思い始めた。

「人間が変わる方法は3つしかない。1番目は時間配分を変える。2番目は住む場所を変える。3番目はつきあう人を変える。この3つの要素でしか人間は変わらない。最も無意味なのは『決意を新たにする』ことだ。」

そんな言葉を思い出した。

このとき、夫には②が起こっていた。私と離れて暮らし始めて、1か月。それがこんなにも変化をもたらしたのだろうか。このころフリーランスの仕事も終わりかけていたから、①も近づいていた。ここからまた、いい方向へどんどん変わっていくのかもしれない。そう思った。

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