愛着障害の克服1:安全基地

「愛着障害」より、最終章の「第六章 愛着障害の克服」を簡単にまとめてみた。

1.なぜ従来型の治療は効果がないのか

パーソナリティ障害や、複雑化した発達障害などの難しいケースほど、カウンセリングや通常の認知行動療法ではなかなか効果が得られにくい。愛着安定型の場合は通常の心理療法が機能するらしいのだけれど、そうでない場合は逆に悪化したり、治療者と患者の関係がこじれたり、決裂してしまうこともある。なので、通常の療法に「愛着」の観点を入れてみると、状況が見えやすくなる。

2.いかに回復するか

1)安全基地となる存在

愛着の原点は親との関係で生まれるため、愛着障害を克服するには親との関係を修復するのが一番いい。子供に問題が表面化したのをきっかけに、親も問題を見つめ、親子で克服するケースもある。でも親も愛着障害を抱えていることが多く、自分の問題として認めず子の非にこだわり続け、子供は良い方向へ変わろうとするたびにまた傷つけられて回復を邪魔されるので、第三者が必要となる。この第三者が「安全基地」として機能することで、子供は愛着を築き直す体験をし、不安型を安定型に変えていく。

親が問題を見つめ始めてくれるのが一番いいに決まっているけれど、私の親世代の人間で自分を振り返ることができる人はそうそういないと思う。あの世代は右肩上がりの社会しか経験していないので、現実を見つめて問題を解決する能力が極端に低い人が多い印象だ。

となると、やはり「第三者」がひつようになってくる。これは簡単に考えるとカウンセラーのことだと思う。家族カウンセリングができる人もいるので、親子で診てもらうのもいい。それが駄目なら、親は捨てて自分だけでも治るしかない。

「安全基地」とは、いざというときに頼ることができ、守ってもらえる居場所であり、安心の拠り所として心の支えとすることができる存在。トラブルが起きたときはそこに帰ってきて助けを求めることができるが、常にそこに縛られる必要はない。最初は頻繁に頼るが、安心と自信を回復するにつれて頼る回数も減り、さらに回復すれば心の中で安全基地のことを思い描くだけで十分となる。

通常はこの役目を親がして、子供は親といることで安心感を得、大きくなるにつれて親がそばにいなくても安心していられるようになっていくのだが、愛着障害はこの安全基地が持てない障害なので、それを克服するにはよい安全基地となってくれる人の存在が必要。

私の場合は、今のカウンセラーがこれに当たると思われる。なにかあったら、行けば必ずなんとか安心して帰ってこれる。このカウンセラーと出会えて本当に幸運だったと思う。

(1)安全基地を求めてさまよい続けたルソー

ルソーの愛着障害の例。愛着不安が強すぎるゆえに、親しい人が自分のもとを離れていくというのは、愛着障害の人がたどりやすい悪いパターンでもある。そうならないためにも、強すぎる愛着不安をコントロールする術を学んでいかねばならない。逆に、支える側の人も、そのことを理解して、愛着不安を和らげるような接し方を心がける必要がある。

(2)よい安全基地とは?

①安全感を保証する:一緒にいても傷つけられることがないというのが一番の条件。(ここがないから、私はずっと歯軋りをしているのだと思われる。)

②感受性・共感性:愛着障害がある人が何を感じ、求めているかを察し、共感すること。感受性が乏しいと、相手の気持ちがわからないばかりか、無神経なことをして逆に相手を傷つけてしまう(まさしく夫のこと)。

③応答性:相手が求めているときに応じてあげること。いざというときに「相談できる」「守ってもらえる」という安心感につながる。求めていないことや、求めていないときに余計なことをするのは応答性から外れることであり、また相手がするべきことまでしてあげてしまうのも外れる。感受性も応答性も基本は受け身であり、自分がすぐ主役になってしまうような人(=夫)もよい安全基地になりにくい。

④安定性:相手の求めに応じたり応じなかったり、気分や都合で対応が変わるのではなく、できるだけ一貫した対応をとること。

⑤なんでも話せる:①〜④の条件がクリアされて初めて達成できる条件。傷つけられたり説教されたり秘密をもらされたりする心配なく、相手が隠し事をしたり遠慮したりせずに心のなかに抱えていることをさらけ出すことができる人との出会いが、愛着障害の克服において極めて重要。そういう人が安全基地として機能しているなら、語ること自体から大きな癒やしが生じるだけでなく、それまで断片的だったものが統合されて、傷や歪みが修復されていくプロセスが始まる。

愛着不安の強い人は、一度になにもかも話さなければならない衝動に駆られ、相手を面食らわせてしまい、対等な関係を築きにくい(まさに私)。愛着回避の人は、自分を開示することに慎重になりすぎ、お膳立てが全て整っても足を踏み出せず、求められていないと相手に思わせてしまう。気長に寄り添い続けることがなによりも大事。

これだけのことをするには、やはり一般の人には難しいと思う。どちらかが安定型の場合は自然と少しずつ不安を吸収してくれるだろうけれど、特にうちのように夫婦とも愛着にかなりの障害があると、専門家に頼らないと絶対に無理だと思った。

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6件のコメント

  1. 読ませてもらえて考えさせられました。ありがとうごございました。私も第3者のカウンセラーに関わっってもらい、克服したいです。自分にぴったり合うう、カウンセラーに出会えるコツはありますか?

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    1. > 南さん

      コメントありがとうございます。コツはわかりませんが、ご自分が安心できるカウンセラーが一番だと思います。プレッシャーを感じたり、こちらが不安になってしまうような場合は、うまく進まないかもしれません。この前、カウンセラーを育てる大学院で、院生のトレーニングでカウンセリングをやっているところを見つけました。そういうところだと、カウンセリングを受けるのは院生からですが、教授が監督でついてくれるのでいいかもしれません。南さんに合うカウンセラーが見つかりますように。

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  2. はじめまして。

    27歳になった今でも、親に対して、愛されたい、認められたいという気持ちが強く、自分の感情を出せなかったり、人間関係や恋愛も上手くいかず、ずっと生きづらく苦しくて、インターネットで調べていたところ、こちらにたどり着きました。

    色々な心理セラピストの方のブログなどを拝見して、セミナーなどがあると知りましたが、北海道在住でなかなか参加できそうなセミナーがなく、金銭的にも気軽に参加できるものがなく、困っております。

    現在、心療内科に通いつつ、愛してほしかった気持ちを自分自身で受け止めようとしていますが、自分だけでは抑えきれなく、苦しくてどうしていいのかわかりません。
    子供の頃、満たされなかった気持ちを癒したいです。

    やはり、セミナーや心理セラピストの方のカウンセリングを受けるしかないのでしょうか?

    愛着について、自分自身について勉強したいです。
    よろしくお願いいたします。

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  3. > maaさん

    コメントありがとうございます。苦しい状況にいらっしゃるのですね。勉強したいというお気持ち、すごく力になると思います。これしかないというものはなく、みんなそれぞれに合った解毒方法があると私は思います。私自身でも、段階や状況によっていろいろなものを取り入れ、変えてきました。面倒ではありますが、いろいろ試してみてそのときそのときでいいなと思ったものをやってみるのがいいと私は思います。

    とりいそぎ私がご紹介できそうなものは以下の通りです。ブログで本もいくつか紹介していますのでご覧になってみてください。maaさんに合ったものがどこかで見つかりますように。

    「U2plus」https://u2plus.jp/
    専門家の友人が立ち上げたサイトで、CBT(認知行動療法)のSNS的なものだと思います。

    「Cotree」https://cotree.jp/
    その友人が紹介していたサイトで、Skypeやメッセージングサービスでカウンセリングが受けられるものです。

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    1. ご丁寧に教えていただいて、ありがとうございます。
      是非、参考にさせていただきます。

      克服できることを信じ、たくさん勉強して自分と向き合おうと思います。

      本当にありがとうございました!

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      1. > maaさん

        最近聞かれることが出てきて用意していたところでしたので、ちょうどよかったです。あまり頑張らず無理なく進めますように。お互いラクになりましょうね!

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