「愛着障害」抜粋:愛着スタイル

「愛着障害」より、第一章から「愛着」について基本的な説明を抜粋してみる。

まずは、「愛着スタイル」から。

第一章 愛着障害と愛着スタイル

あなたの行動を支配する愛着スタイル

困ったことがあると、すぐに人に相談したり、助けを求めたりする人。逆にどんなに困っていても、なかなか人にそのことを打ち明けたり、ましてや援助を頼むということが言い出せない人。気軽に甘えたり、すぐ相手と親しくなれる人もいれば、何年顔を合わせていても、いっこうに距離が縮まらない人もいる。こうした行動の違いを生み出しているのも、「愛着スタイル」なのである。

親や配偶者さえ当てにならず、親しい人に助けを求めても「傷つけられるだけだ」と思っている人と、親しい人はみな自分のことを心配して「助けてくれる」と信じている人とでは、当然行動も違ってくるし、その違いは、親しい人との関係だけでなく、「対人関係全般」に及ぶことになる。

「安定した愛着スタイル」のもち主は、相手が助けになってくれると信じきっているので、実際にすぐ助けや慰めを求め、それを得ることができる。しかし、「不安定な愛着スタイル」の人は、そんなことをすると拒絶されるのではないかと不安になって、助けを求めることをためらったり、最初から助けを求めようとはしなかったりする。あるいは、助けを求めても、求め方がぎこちないため、相手を苛立たせてしまったり、肝心なことを切りだせなかったりして、結局、効果的に相手方の助力を得ることができにくい。

その人の愛着スタイルというのは、母親との関わりを出発点として、その人にとって「重要な他者」との関係のなかで、長い年月をかけて培われていく。

「拒絶されるのではないか」もあるけれど、「人の助けはいらない」「自分は強い」と思い込んでいる人も多いと思う。「助けてもらいたいけど言えない」よりも、そっちのほうが重症な気がする。

抱っこからすべては始まる

抱っこをし、体を接触させることは、子どもの「安心」の原点であり、愛着もそこから育っていく。抱っこをすることで、子どもから母親に対する愛着が生まれるだけでなく、母親から子どもに対する愛着も強化されていく。何らかの理由で、あまり抱っこをしなかった母親は、子どもに対する愛着が不安定になりやすく、子どもを見捨ててしまう危険が高くなることが知られている。

子どもが泣くと、すぐに抱っこする母親の場合、子どもとの愛着が安定しやすいが、放っておいても平気な母親では、不安定な愛着になりやすい。

抱っことしう実に原始的な行為が、子どもが健全な成長を遂げる上で非常に重要なのである。それは、子どもに心理的な影響だけでなく、生理的な影響さえ及ぼす。子どもの成長を促す成長ホルモンや神経成長因子、免疫力を高める物質、さらには、心の安定に寄与する神経ホルモンや神経伝達物質の分泌を活発にするのである。

抱っこは、スキンシップという面と、「支え、守る」という面が合わさった行動である。よく抱っこされた子は、甘えん坊で一見弱々しく見えて、実のところ、強くたくましく育つ。その影響は、おとなになってからも持続するほどである。

たぶん私たちの親世代では、「子供を甘やかすとよくない」というような考えかたの人が多いと思う。でも実際は子供のころにこそ甘えさせておかないと、一生引きずってしまうということだ。

イギリスでは、ひと昔前に「子供が泣いたら、自分で泣き止む方法を学ばせるために放置する」というとんでもない育児方法が流行ったために、それで育てられた人は愛着に傷がある人が多いらしい。時代の流れでしかたのないことではあるけれど、恐ろしい話だと思う。

愛着の傷と脱愛着

幸運な状況に恵まれれば、子どもが助けを求めたとき、母親(養育者)はすぐに必要なものや慰めを与え、安心と抱擁で包むことで、子どもは母親との間に揺るぎない「愛着」を育むことができる。そして、基本的安心感や基本的信頼感とよばれる感覚を育んでいく。この世界が安心できる場所で、人は自分の助けとなってくれるものだと信じることができる感覚である。これは、物心がつくよりもはるか以前の体験によって、脳の奥深くに組み込まれる。

ところが不幸にも、子どもが母親に助けを求めても、それに応えてくれなかったり、その反応が不安定であったりすると、愛着が不安定なものになるだけでなく、基本的安心感や基本的信頼感というものもうまく育まれない。この時期に育み損なってしまうと、後から修正することは非常に難しい。

愛着を脅かす、もっとも深刻な状況は二つある。一つは、愛着対象が「いなくなる」場合である。(中略)

愛着を脅かす、もう一つの深刻な状況は、守ってくれるはずの親から「虐待」を受け、安全が脅かされるという場合である。この場合、子どもは親を求めつつ、同時に恐れるというアンビバレントな状況におかれる。しかも、親がいつ暴力や言葉による虐待を加えてくるかわからないといった状況は、子どもにとって予測も対処も困難である。ただ「自分は無力で悪い存在だ」という罪の意識や自己否定の気持ちを抱えさせられてしまう。

のちに知ることになるけれど、子供は生まれてくる前から母親やその周りの環境を察知しているので、妊娠中の母親の不安にも大きく影響されるらしい。母親が精神的に病んでいる場合、妊娠中から影響を受け、さらに生まれてからは虐待の可能性もある。

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