自分の問題と夫の問題

3回目のセッションが来る前に、ついにもうどうしようもなくなってしまった。

当時の1年くらい前から心が過敏になっていて、「わけもわからず傷つく日々」を送っていた。「人の言動にも傷つく日々」でも書いた通り、普通の人ならなんの問題もないことがものすごく刺さるようになっていた。人に会ってもよけいに落ち込んだりして、どんどん関わらなくなっていった。

わかっていたのは、親と同じことをされると刺さるのだということだった。それまでは大丈夫だったのに、「この人は私のことを考えて発言をしていない」「自分がスッキリしたいためだけにこれを言ってくる」というのが見えるようになってきて、一度それが見えてしまうとそれ以降は怖くて悲しくてその人に会うことができなくなってしまった。

たぶん、それまでまったく平気だったのもおかしかったのだ。

まず前提として、普通は人がどれだけ自分勝手な発言をしても、それに落ち込んだり悲しくなったり怒ったり、ましてや傷ついたりしない。なぜかというと「人と人との境界線」があり、自分と他人がきちんと分かれているからだ。「へーあなたはそう思うのね」で終わる。

でも私の場合は自分と他人が分かれていないので、人が言ったことがそのまま直接入ってきてしまい、自分の気持ち(=存在)を自分で無視することになり、傷つく。相手が言うことをそのまま受け入れなければならず、「押しつけだ」「無視されている」と感じる。

それまではそれすらもわからない状態にあって、自分が傷ついていることもわかっていなかった。それが「私の気づき」から始まるこの数年の変化によってだんだんと違和感が出るようになってきて、つらくなってきた。次の段階には、人との間に境界線を確立して、きっと普通に人とコミュニケーションをとれるようになるのだろうと思った。

ただ、会社なら辞めればいいし、友人なら疎遠になればいいけれど、ともなるとそうもいかなかった。

夫の言動に傷つく日々」でも書いた通り、このころ夫といて死ぬほど傷つくようになっていた。親と同じことをしてくる人が耐えられないのに、夫はまさにそれをしてくる人だったのだ。

たとえば仕事の面接があって不安に沈んでいても、無視される。不安が募って、ようやく「明日の面接でなにを言おう…」とポロっと出たりする。でもそこで夫は「『私を採用しろ』って言っとけ!」などと冗談を言って笑っている。夫は人の気持ちを汲んだり、その場の空気を読むことが異常に下手だった。「できない」というよりも、積極的に「やらない」または「逃げている」ようだった。

のちにカウンセリングで夫がした言い訳としては、「イギリス人的に、冗談を言って気持ちを和ませてやりたかった」ということだった。同じイギリス人のカウンセラーを前に自分を正当化することは、とても上手かった。本当にクソ男だと思った。でもカウンセラーはそんなことはお見通しだった。

よどんだ夏」でも書いた通り、夫は「感情ネグレクト」で育ったので、人の感情に面することができなかった。逃げるしかできない人間だったのだ。それを自分では「独立心が旺盛」と都合よく解釈していた。

見た目は優しく私のことを大切にしてくれているはずの夫が、実際は私のことをどうでもよく思っており、ただ自分が気の向くときに一緒にいたり、自分の話ができればいいようだった。私のことを気づかったり、私の話を聞いたりすることはなかった。結婚して7年、そこに初めて気づいた。

今思えば、それは毒親とまったく同じだった。

それでも、「こっちは英語の面接で不安なんだから笑ってる場合じゃないんだよ!」と言い返せばいい。私は不安を抱えていて冗談を言ってる場合じゃないのだ、それを無視されると悲しいのだと。夫から勝手なことを押しつけられるのではなく、自分の気持ちをぶつければいい。

でも実際の私は、なんで自分が悲しいのか、違和感があるのかわからない。自分の気持ちを把握できないから、なにが起こっているのかわからない。なにかおかしいのはわかるけど、なにがおかしいのかわからない。だからなにも言い返せない。

自分の気持ちがわからないから言えず、ただの違和感を抱えたままで終わってしまう。そしてそれが積もり積もって、最後に爆発する。夫からすると、晴天の霹靂だった。私も、なぜこんなにも傷ついていて爆発しているのかがわからない。わからないから、夫に「なんでだよ!」と言われても説明できない。また、説明しても夫から否定される。

夫からされることでこんなにつらいのに、夫には責められる。頭がおかしくなった。

夫との会話の中でどうしようもなくなって、泣きながら友達に電話した。そんなこと、それまでの人生で一度もやったことがなかった。今思うと、私は確実に変化していた。医者に行き、友人に助けを求めた。「助かりたい」という自分の気持ちに従い始めていたのだ。

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