友人の来英

夫が短期の仕事を始め、私も精神的に少し落ち着き、体調もしばらく安定しているようだった。

また三連休があり、今度は海辺のほうの町へ行って、少しビーチの周りを歩いたりもした。以前のような長いウォーキングはせずにいたものの外に出れるようになり、回復してきたかのように見えていた。

腐りきった毒親」で書いた、実家の近くに住む仲良しのおばさんがまた仕事でイギリスに来たので、会って話を聞いてもらった。年始に会ってから、その後なにがあったのかを聞いてもらい(「10 大災害に見舞われる」参照)、よくわかってもらえて嬉しかった。

化粧水ふたたび」で書いた化粧水をなくされた話をしたら、「浴衣と送ったって言ってたやつ?」と言われた。あれだけ「送るな」と言ったのに、やはり送っていた。「送らずに置いておいたんだけどなー」とすっとぼけていたけれど、やはり送っていたのだ。

この人たちとコミュニケーションを取ることは「難しい」とか「用心が必要」などではなく、完全無欠に「不可能」なのだと、改めて体中で実感した。日本語を解しているような雰囲気はあるけれど、あの人たちが話しているのは別の惑星の言語なのだ。英語で話しかけても理解度は変わらないだろう。

おばさんが言うには、母親は一緒に来たそうな顔をしていたという。「絶対に連れて来ないで」と言ったけど、仮に一緒に来るかと聞いたとしても、母親は腰を切開する手術をしたばかりで、あの身動きできない状態では飛行機にも乗れなそうだ。しばらくは心配しなくていいだろう。

しかも親は、万が一にも「一緒に連れて行って」などとは言えない。なぜかというと、馬鹿だからだ。

父親も母親も、私から「お父様お母様、ぜひいらっしゃってください」と飛行機のチケットが送られてくるのを待っている。私が渡英したときから。ホテルも全部手配してもらって、いろいろ案内してもらっていい気分にひたり、それを帰国して人に自慢したいのだ。うちの娘は海外に住んでいて、この前呼んでもらったんだよと。それがやりたいのだ。

一生待ってればいいと思う。

過去に何度か、母親が人を使ってそれを実現しようとしたことがあるのを、私は知っている。「Kelokoに会えなくてもいいから、Kelokoがどんなところに住んでいるのかだけでも見たいわ」と、イギリスに行ってみたいと人に言うのだ。こういうお涙頂戴なことを言えば、その人が私に「Kelokoちゃん、お母さんこんなこと言ってたよ、イギリスに呼んであげなよ」と言ってくれるだろうというのが狙いだ。

典型的な毒親的やり口だ。

でも周りは、そんな魂胆をよそに「今じゃたくさんツアーもあるし、ぜひ行ってきなよ」と勧めたそうだ。本当にありがたい。もちろん、そう言われて毒親がツアーでやってくるようなことは一切ない。だんだんとそのやり口が通用しないことが理解できてきたのか、もう「イギリスに行きたい」などとは言わなくなったようだ。素晴らしい。

私もそこまで鬼じゃないので、そんなに来たいならチケットを送ってあげてもいいかなとも思った。私がイギリスを出てるときに。空港に着いて放置されたら、少しは海外生活の大変さもわかるのではないかと思った。でも親の教育に子供がお金を払うのもおかしいと思い、やめた。

というより、私が親の立場だったら、まず仲良くもない私が突然にこにこしてチケットを送ってきたりしたら、今までの歴史を振り返れば「おかしい」と思わずにはいられないだろう。なのにそれを「Kelokoも大人になったのだ」「心を入れ替えたのだ」と勝手に思える人たちが、信じられない。お金をもらったってそんな毒親旅行のツアコンなんかしたいと思わないのに、逆にお金を出せなどあり得ない。

という楽しい話をしながら、1日おばさんたちを案内した。翌日も、またその翌日も会うつもりだった。でも、また体調がおかしくなった。

ロンドンまで行ったのはいいけれど、頭から血の気が引くようにふわふわして、前に進めなくなった。それでも地下鉄に乗ってしまえばと思ったけれど、全体がホワイトアウトするような感覚に襲われ、だめだと思った。泣く泣く帰宅し、寝込んだ。けっきょくおばさんとは一度しか会えず、毒親の呪いなのではないかと思った。

疲労がひどくて、起き上がれなかった。脳天に違和感があり、視界が白く濁ったようにふわふわしている。体の周りに膜が張られたように、身の回りのものが遠くに感じる。心臓に負担がかかっているようにも感じた。1日に20km以上もウォーキングしたことがあるような人間が、たった1日友人を案内しただけで寝込むなんて、どう考えても異常だ。

1日中ずっと横になっていたのに、翌日の月曜日も半日で早退せざるを得なかった。これは本当にいったいなんなのだろうと、怖くなった。

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