人といるとなぜ疲れてしまうのか

絵画療法」のところでわかったことのひとつ、「人といると疲れてしまう」のは、気の休まる暇がないからだ。常に、相手がどう思っているかどうしたいかを考えて、「正解」を出し続けなければならない。「不正解」を出してしまうと、自己嫌悪でものすごく落ち込んでしまうからだ。

では、どういうときに不正解を出して「やってしまった」と凹むのか。

海外に引っ越してしまった友人Aちゃんが、数日イギリスに帰ってきたので、友人数人で集まった。Aちゃんは、前回来英時に会えなかったBちゃんにも会いたかったのだけれど、Bちゃんの電話番号がわからなくなってしまっていて電話ができず、とりあえずメールをしてみたものの連絡がつかなかったとのこと。私はBちゃんの番号がわかるから、ダメ元でこの場で連絡してみようかと申し出た。

Bちゃんに電話をかけて、「今集まっているんだけど、もし来れたらと思って」と伝えた。でもなにせ急だし、難しいだろうなと思っていた。Bちゃんに無理させないように、それを伝えたかった。そこで私が言ったのは、

  「いやー、Bちゃんも忙しいよね

だった。言った瞬間、「そうじゃない、私の心情を表すのはそれじゃない」と慌てたのだけれど、ではなんと言ったらいいのかがわからなかった。そしたらAちゃんが横から、

  「急だもんね

とナイストスをくれた。そう、それだった。それこそ、私が求めていた言葉だったのだ。すかさず「急だもんね」と、そのままBちゃんに伝えさえてもらった。Bちゃんはけっきょく来れなかったのだけれど、でも私がAちゃんに電話をパスして、そこで少し話ができてよかった。

私一人だった場合、「忙しいよね」と言ってしまって、でも違うとは思うものの、適切な言いかたわからずに挙動不審におちいり、違う言いかたを出してもそれがもっと不適切だったりして、どんどんどんどん落ちていってしまう。こういうことがたくさんあるので、人といると疲れてしまうのだ。

この「忙しいよね」と「急だもんね」には、いったいどういう違いがあるのか。その違いを、カウンセラーが教えてくれた。

  「忙しいよね」=相手のせい
  「急だもんね」=自分のせい

こう見ると、違いはかなり明確で簡単だった。だから「忙しいよね」と言ったとき、なんだか相手に失礼なような気がして、申し訳なかったのだ。

主語をつけてみると、よくわかる。

  「(Bちゃんも)忙しいよね」
  「(私の電話が)急だもんね」

日本語では主語を略すことが多いからよくわからないけど、英語で言えば明確だ。

  「(Bちゃんも)忙しいよね」= You might be busy though
  「(私の電話が)急だもんね」= I‘m sorry for the short notice

私の場合は、「I」で話しているのか「You」で話しているのかがわからなくなるので、混乱して挙動不審になってしまうのだということだった。こういう人は、人と自分の境界線が曖昧になっているらしい。のちのち重みを増してくる、大きな発見のひとつだった。

人との境界線が曖昧になってしまっている人は、人のことを自分のこととしてしまうため、人のことを自分のことのように考えてしまう。なので、それと同様に人が自分のことを思ってくれないと、深く傷ついてしまうのだ。これが、親との間に起こっていたことであり、それと同様に夫や他の人との間に起こっていて、夫や人の言動に傷つく原因のひとつとなっていたのだ。

これを治すには、英語で話すときのように境界線を意識することと、もうひとつはそもそもの原因である親との関係を掘り下げることが必要だった。これは、のちに「共依存」を学んだときに出てくる。

ではもうひとつ、なぜ私は勝手に相手のせいにしてしまっているのか。

カウンセラーいわく、無意識レベルで自分を守る作業をしているんだろうとのことだった。のちのちに、なんでそんなに自分を守らなければならなかったかが明らかになったけど、このときは、家族から守られるどころかスケープゴートにされてきたために、家という場所でさえ常に自分で自分をディフェンドして生きてこなければならなかったからだと思っていた。それもまた、ひとつの原因としては合っていたけれど。

  ①人の境界線が曖昧になってしまっている
  ②無意識に自分を守る作業をしている

この二つの発見は、かなりの衝撃だった。「コミュニケーション下手」という、普通に考えたら単なる性格としか片付けられないようなところに、きちんとしたメカニズムがあったからだった。そして、メカニズムがあるということは、治せるものであるということではないかという、希望にもつながった。

広告

4件のコメント

  1. こんにちは。岡田尊司さんの「愛着障害」を検索していて辿り着きました。
    自分も回復途上でブログの内容に共感と発見を頂きました。自分は米国からの帰国子女なので、家庭内+家の外でも「ありのままの自分では攻撃/疎外される。身を守らねば」と思い込んできました。  
    またお伺いさせて頂けますと幸いです^^どうぞ素敵な週末をお過ごしくださいませ…

    いいね

  2. > Shikadoさん

    コメントありがとうございます。「愛着障害」の考えかた広まっているんですね。私も、まず「ありのままの自分とはなんなのか」から始めることになりましたが、少しずつ進んでいます。なにかヒントになることがあったら嬉しいです。

    いいね

  3. 初めまして。
    境遇が似ていて(両親や妹との関係)、共感できるし、勉強になります。よく分析されてます。
    これまでの記事も少しずつ読ませて頂きます。

    いいね

    1. > fumikogilgerさん

      はじめまして。読んでくださってありがとうございます。過去の記事は難しいところに差し掛かり更新が止まってしまっていますが、これからが大事なところだと思うので、また更新していきます。

      いいね

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中